実技のコツ

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  • 記述問題の分解対応
  • 机の上の問題用紙配置
  • 短期予報文の書き方

  • 記述問題の分解対応

    参考書やネットにはよく「記述問題では聞かれたことだけを素直に答えろ」と書かれています。それは具体的にはどういうことなのでしょうか?

    この疑問を考えるために、記述問題をタイプ分けしてみるとだいたい次の3つになります。

     ・単数型 「〜であることの理由を述べよ」「〜はどうなっているか」「〜の特徴を述べよ」
     ・複数型 「〜、〜、〜に基づいて述べよ」
     ・図利用型 「図〜、図〜を考慮して述べよ」

    ここでは、複数型について見ていきましょう。複数型のタイプの具体例は以下のようなものです。

    平成20年度 第1回試験 実技2より

      「米子上空が不安定である理由をSSI、状態曲線、相当温位の鉛直分布に基いて述べよ」

    このように、考慮すべきいくつかの条件が提示され、それに基づいて答えを述べるというタイプです。しかし普通は条件は図から読み取る場合がほとんどですし、提示された条件がひとつだけの場合は単数型に帰着されるわけですから、結局のところ単数型・複数型・図利用型は本質的にはどれも同じような問題だと言えます。

    さて、上記の問題に対して、気象業務支援センターから発表された模範解答は次の通りです。

       SSIが0℃以下、700hPa付近まで湿潤で、相当温位が高さとともに減少している。

    ではここで、問題文と解答の対応を見てみましょう。

    問題 米子上空が不安定である理由を SSI、 状態曲線、 相当温位の鉛直分布 に基いて述べよ。
         ↓  ↓  ↓  
    解答   SSIが0℃以下、 700hPa付近まで湿潤で、 相当温位が高さとともに減少している。  


    このように、問題文を細かく分解して得られる「条件」とそれについて「対応する文章」を丁寧に考えながら初等的な言葉で記述していくと自然と答えが得られるのです。多くの記述問題はこういう構造になっています。


    さらに他の例をいくつか見てみましょう。


     ★平成21年度 第1回試験 実技1より

    問題 状態曲線Pの順序の根拠を、 安定層の高度 および 秋田と低気圧との相対的な位置に関係付けて 35字程度で答えよ。
         ↓    ↓  
    解答   温暖前線面に対応する安定層の高度が高く、   低気圧の中心が遠いため。  



     ★平成20年度 第1回試験 実技2より

    問題 850hPaの気温・風の場、 SSIから 成層状態を推察せよ。
       ↓  ↓  ↓
    解答 下層の風が南寄りであり、 SSIが0℃以下の所があり、 成層が鉛直不安定である。



     ★平成19年度 第2回試験 実技1より

    問題 降水量が多くなる理由を 前線の移動状況、 風の場、 湿数の分布、 数値予報モデルの地形に着目し 60字程度で述べよ。
         ↓  ↓  ↓  ↓  
    解答   前線の動きが遅く、 前線の東側の大気下層で強い南寄りの 湿った流れが持続し、 中部地方の南斜面で地形の影響を受け上昇している。  



     ★平成19年度 第2回試験 実技1より

    問題 日本海側と太平洋側の比較を 天気、 視程、 気温、 湿数 について30字程度で述べよ。
         ↓  ↓  ↓  ↓  
    解答   晴れまたは快晴で、 視程が良く、 気温が高く 湿数が大きい。  


    以上に挙げた他にも同様の問題は多数出題されています。また、ここで取り挙げたのは話を分かりやすくするため条件が読点で区切られた問題だけにしましたが、もちろん読点で区切られていないような問題もあります。

    他には、「図〜と図〜を考慮して35字程度で答えよ」のような図利用型の問題もありますが、そういった問題は図から読み取れる事柄だけを考えてそれをただ単純に列挙していけば良いのです。

    以上のように記述問題を分解して考えると、なんだか簡単に解けるような気がしてきませんか?



    机の上の問題用紙配置

    3. 初受験のページで述べたように、基本的に大学の机は小さいです。 試験中は隣りにも受験生がいます。なので広々と机を使うことはできません。

    したがって、普段から試験中を想定して過去問を解くことが重要になります。

    問題なのは実技です。学科は問題用紙と解答用紙だけなのでシンプルですが、実技は問題と独立して図のページがたくさんあります。

    まず、図を切り取るか切り取らないかということですが、私はやはり切り取ったほうがやりやすいのではないかと思います。

    下の写真は図のページを切り離したところ。問題冊子はホッチキスでとめられており、はじめに問題文だけのページがあって、その後ろのページは全て図になっています。問題文のページは両面印刷されていますが、図のページは全て片面印刷で裏は白紙です。さらに図のページは根元がミシン目になっていて、手で切り離すことができます。

    問題用紙から図を切り離した様子図を切り離した様子



    私は机の上で問題用紙、図、解答用紙を下の絵のように配置していました。「受験番号が書いてある紙」はあらかじめ各机の上に置かれています。

    私は右利きなので解答用紙は一番右に置き、一番頻繁に見るのは図なので図を顔の正面に置き、残った問題用紙は左へ置きました。そして、左手で図の紙をパラパラとめくりながら右手で解答を書いていきます。

    ちなみに大学の机は幅が狭いため、試験用紙の前に定規などを置くスペースはほとんど無いですし、前に置くと紙にぶつかって邪魔になる可能性もあります。したがって、下図のように試験用紙の横に置くようにするのが無難だと思います。


    配置図


    このシミュレーションは些細なことのように思えるかもしれませんが、本番というのはどうしても緊張し些細なことでも動揺してしまうものです。その動揺が自分の実力を出し切ることを阻害してしまったら試験後に確実に後悔します。 動揺につながる因子はなるべく排除しておくべきだと思います。



    短期予報文の書き方

    実技ではたまに短期予報文を書かせるタイプの問題が出題されます。短期予報文とは例えば次のような文章で、これは2009年12月30日の10:50分に実際に気象庁から東京地方に対して発表されたものです。

      東京地方 30日
      北の風 後 南西の風 23区西部では南西の風やや強く くもり 夕方から晴れ
      波0.5メートル 後 1.5メートル

    このような文章を書くためのルールというものがあるのですが、参考書にもネットにもほとんどその記述がみられないので、ここでルールの概要を載せておきます。このルールを頭に入れた上で毎日の天気予報を見ると勉強になると思います。


     1. 天気予報は期間内の風向、風の強さ、天気、波浪の順番に記述する。

     2. 風向
      ・予報期間内および区域内の平均風向は8方位で表す。
      ・「寄り」を付けるのは東西南北の4方向のみ。

     3. 風の強さ:やや強い以上の風に対して表現する。
      ・やや強い  10m/s 以上 15m/s 未満
      ・強い    15m/s 以上 20m/s 未満
      ・非常に強い 20m/s 以上 30m/s 未満
      ・猛烈な   30m/s 以上
      ・強風    風の強い状態の総称
      ・暴風    非常に強いと同じ

     4. 天気
      ・主に晴れ、曇り、雨(雪)で表現するがそのうちでも降水表現を重視する。
      ・期間内の変化は「のち」や時間帯(例 晴れ朝のうち曇り)で表す。
      ・快晴、曇(雨)天、風雨強い等は使用しない。
      ・基本は相手に誤解されない表現をすることである。例えば「北〜西の風」の
       「〜(から)」は時間・空間両方の起点の意味があり曖昧であるので、
       「北のち西の風」「北または西の風」のように表す。また、「曇りまたは雨」
        のような表現も許されない。



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